2015年05月18日

センチネルシステムとドロップレッグホルスター

前回MTP PLCE キットの項で触れて置いたSentinel System のHIP PAD についてのおはなし


CQC Sentinel System HIP PAD   生地は官品と同じです Molle Tape 官品とは違いますが実はそこに秘密があります


OSPREY Mk.4 の使われ方もシチュエーションによるとお話ししましたが、割と最近まで長年使い慣れていたPLCE のMTP化は取り残された状態になっていました。それも無理はありません。MTP 装備への改変時期当時、英軍の喫緊の課題はアフガニスタンで急増するテロ攻撃による被害の拡大、分けても他国の紛争とも言うべき彼の地での自国兵士の戦死、戦傷問題に直面していたからで、ボディーアーマーを始めとする兵士の安全や身体損傷を軽減するPelvic protection の支給が最優先されました。イラク戦までの英軍の装備に較べ、アフガン戦の装備改変と追加装備は数年の期間にもかかわらず、質的物量的にもイラク戦までの英軍装備の改変の歴史を軽く凌駕します。

本来、軍隊行動は迅速な展開と制圧、或いは占領を旨とし、統治・運営とは相容れない面を持っており、まして他国でのパトロールや警備・警護といった受け身の平和維持活動は英国軍史上でも不得意な部類だったことでしょう。

Operation Herrick 20 を最後に公の英軍のアフガニスタン派兵は集結し、漸く ” 平時 ” に戻った昨今、再びPLCE 装備が復古してきました。実際には英国内地や他の派兵地や演習では従来のDPM の PLCE を。OSPREY Mk.4 とペアリングされることになったHIP BELT & YOKE キットが行き渡りだした頃からはOSPREY キット中のポウチなどを流用したり、サープラスショップや基地内ショップで求めた民生品のPLCE 装備(多くはマルチカムパターン)を使うトレンドが英軍内で拡大していました。しかし、官給品のPLCE キットの多くは未だ潤沢とは言えない状態にあります。

今回のSentinel System は、そんな現況を熟知しているMoD御用達メイカーであるCQC が製作しているMTP 装備の民生品シリーズです。当然生地も同じ素材のものが使われておりタグの色すら同じでいつでもNSN タグと入れ替えられる様になっています。HIP BELT & YOKE キットのCONTRACT を貰う積もりで企画したんじゃないかな?と思われる点が多々あります。例えば4点支持式OSPREY 用 YOKE は勿論、PLCE 用YOKE 対応の6点支持にも対応していて、OSPREY Mk.4 に付随するポウチ類を利用した簡易PLCE を組み上げることが出来るようになっています。残念ながらCQC の思惑は外れ!? 4点支持ながらMolle Tape が3列になって腰椎部分のフラップにホックの付いたHIP BELT & YOKE キットのMk.2 が、採用されています。因みにベルトは従来のファステックスからロールピンバックルに改変されています。



   
【左】UK デザインでEU で作ってんだぞタブ                          【右】パッドの裏側 民生品だよのタグ NSNタグと同じ生地ですわ


   
【左】官給品と同じフック付きフラップ                              【右】Mk.2 で採用されたロールピンバックル



因みにこのヒップパッドですが、何故か官品のロールピンバックルのヒップベルトとセット販売があります。官品 Mk.2 のばら売りって市場には出回っていないのですが、何故かセンチネルシステムのこいつとはセット販売の設定があって実に興味深いです。今までも民生品を使用した画像は幾葉も見たのですが、PLCE YOKE を使いたがっている将兵は非常に多いように思います。恐らく民生品とは言え引き合いがかなりあるのだと思っています。

   
【左】D リングはOSPREY の T バーと同じ作りでフック状になっています           【右】ヒップパッドのMolle Tape 部  二重になっているのが見えます


   
【左】D リングのフックを好みの位置のMolle Tape に引っ掛けます           【右】この様に好きな位置にD リングを取り付けることが出来ます



PLCE Yoke の6点支持にも対応したHIP PAD のできあがりです



今回、PLCE YOKE は民生品のものを選びました。官給品は肩パッドがしっかりしておりこれはこれで良いのですがOSPREY と併用となるとしっかりしたパッド部が圧迫の元になるからです。民生品のペラペラなものの方が却って違和感なくOSPREY をレイヤード出来ます。邪道?かも知れませんがゲームではOSPREY 有り、無しを気分や体力に合わせてチョイスできますから使い勝手は遙かに向上します。案外現役兵士も同じことを考えてやらかしているような気もします。ともあれ、このセンチネルシステムのヒップパッドは使えるとニンマリしています。

MTP ドロップレッグホルスター


Glock 17 Gen.4 とMTP ドロップレッグホルスター



元来、私はこの手のホルスターはどうも性に合わなくて持っていても使ったことが殆どありません。特に英軍官給のDDPMのホルスターやかつてのDPM 時代の Arktis のホルスターなぞチープで使い勝手が悪く腹立たしいものです。今回もホルスター部だけが欲しくて渋々一式手に入れました。

   
ホルスター部 DDPM の官給品と較べるとかなりしっかりしています  中型拳銃がはいると言われていますがSIG はかなり無理しないと入りません


   
レッグパネル部 Molle Tape が張られていてマガジンも取り付けられます



ホルスター部分は芯が入っておりかなりしっかりしています。しかし英軍が使用している銃の裡、Glock 17 Gen.4 やブローニングハイパワーは文句なしに入りますがSIG を入れるにはタイト故に入れづらく、否クイックドロウなぞ到底出来ないと思って下さい。

私が前述の通りに酷評するのは、実はドロップレッグのシステムに起因しています。例にとって言えば英軍でしばしば使用が認められるBH のホルスターやRADAR の新ホルスターは大腿部に巻くベルトの内側にゴム引きゴムの滑り止め加工がしてあります。米軍やPMC が使用しているドロップレッグシステムでは当たり前の加工がこれらには為されていません。時代が違うというならこのMTP のドロップレッグシステムに就いて、としてもよいです。ゴム引き滑り止め加工が為されていないとどうなるかというと経験済みの方には今更ですが、ホルスターがぐるぐると大腿部上で遊ぶんです。甚だしい場合は立て膝状態になったとき太ももの裏側に回り込むことさえあるからです。正直に申して使えるシロモノではありません。何故こんなものを官給品としているのかMoD の頭の中をかち割って見てみたいぐらいです。とは言え腐ってもMTP ですからホルスター部だけを使うか、ベルト部分をゴム引き滑り止め加工してあるものと入れ替えて使おうかなと思います。この弱点を知らずに手に入れることだけは絶対にしないで欲しい、アレなアイテムと言えるでしょう。



む! OSPREY Mk.Ⅲ!!?  ホルスターは一貫して「Mk.Ⅲ」の表記なんだそうです







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この記事へのコメント
このドロップレッグホルスターとセットで支給されるマグポーチの記載は、以下のとおりです。
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9MM/SIG AMMO POUCH
OSPREY MKIII MTP
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そしてご存知のとおり、ボディアーマーに付属するマグポーチは以下のとおりです。
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OSPREY MK IVA (MTP)
POUCH, AMMUNITION
9MM PISTOL
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このホルスターは、本来はSIG P226用として支給されております。
Posted by Patriot at 2015年06月04日 10:11
Patriotさん:いつもながら詳細な情報有り難う御座います!参考になります!
Posted by Kafu'Kafu' at 2015年06月05日 00:35
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