2014年03月27日

ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整

ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整
VFC HK417 に載せているELCAN SPECTER DR のレプリカ



なんだかこのところ光学系の記事が多いのですが、今回も性懲りもなく先日のHK417 に載せていたELCAN SPECTER DR のレプリカの改修記事です。このスコープはアイレリーフが十分にありその上明るいのでエイミングしやすくお気に入りのひとつです。しかしどうにも我慢ならないところがあって遂に弄る事にしました。元々少し右にレティクルが寄っていたのですが、これは中華製故のものと諦めていたものの等倍と4倍の切り替えをすると全く違うところにレティクルが行ってしまうので4倍のみで使っていました。先日久々にLBR に行く前に、近接戦闘もあるので切り替えがどうしても必要になり思い立った次第。まさかこいつの分解記事がネットにあるとは思わずシコシコと分解手順を写真撮りしていたら、あ~た上には上がいて香港マニアさんがさっさとやっていたではありませんか!もう虚脱感の塊です。私の拙い記事よりよっぽど出来が良いので平行してご覧下さればかなり分解と調整に詳しくなれると思います。尤も私の記事は少しだけ手順が違ったりどなたも未だ触れていない事があるので補足としてお読みいただければ幸いです。


1.症状

4倍でゼロインすると等倍にしたときにレティクルが左上に移動してしまうつまり、着弾は右下になるのです。何故等倍を問題にしているかというと、外側から切り替えを観察すると、このシステムは元々の4倍スコープを等倍にするため中で倍率を下げるレンズ群がレバーによって90度の角度で入り込んでくるのが判っていたからで、4倍には手を付けずとも等倍にする為のレンズユニットの調整をすれば良いからです。最近症状が特にひどくなってきたので、摩耗と言うよりネジなどの絞め具合など内部の調整で改善できるのでは?と推定。バラせば解決の糸口が見つかるかも知れないと考えていました。


ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整

私のスコープの症状:着弾位置で表せば上の図の通りですが、要は等倍(1X) にするとレティクルが左上にズレる為にこうなるわけです




2.分解

大まかな分解は香港マニアさんの記事を参考にして下さい。私がこちらの方が手順としては良いかな?思うところはかいつまんで載せておきます。特にスコープベースの外し方の手順やウィンテージダイアルの取り外し方法は力業、やライターで温めると言ったレベルでは外せないものもあると思いますので、私の例を引き合いにバーナーで炙る方法をご紹介しておきます。


ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整    ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整
【1】最初にエレベーションダイヤルのイモネジ(M2) を左右外す         【2】スコープベースのバネ留めを外すとウィンテージの結合部だけになり作業がしやすくなる


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【3】ウィンテージダイヤルはかなりしっかりとネジ固定剤で留めてあるので図示の通りダイヤルやシャフトをバーナーで炙ります。出来るだけダイヤルとシャフトのみに火力が
                                伝わるように工夫しましょう。かなり熱くなりますのでスコープ損傷には注意が必要です。しかしこいつが外れないことには先に進めません。
                                写真の様に鏡胴を右に寄せておくと効率が上がります  ※黄色矢印のイモネジ、バネ、ボールを事前に取り外しておくこと!

                               【4】バーナーで炙った後はネジ固定剤も溶けますので写真のように先の細いラジオペンチで押さえてマイナスドライバーを反時計方向に回せば簡単に外れます


ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整
これでスコープベースとの分離が完了です!



3.倍率下げレンズユニットの調整

鏡胴を裏返しにして倍率切り替えレバーの中心にあるプラスネジを緩めて外し、裏蓋も外します。更に内蓋を外すと倍率下げレンズユニットが取り外せます。内蓋の白っぽいゴム系接着剤はいったい何の役に立っているのか全く判りません。接着力は低いですし防水?にしてはまだらな塗り方で....迷わず取り払ってしまいました。

ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整
レンズ基部のローレットには左右に板バネがあり回転をテンションで制御しています



a.鏡胴内のエレベーションの微調整

レンズユニットと大袈裟に書きましたが実は接眼側レンズと対物側レンズの2枚のレンズ構成です。これを光学的に言うと1群2枚と表現するんですか、ね? ま、それは兎も角、接眼側のレンズは驚くべし!2点で黒い接着剤で固定されているだけです。一方対物側のレンズはねじ込み式になっています。このねじ込みレンズの方が振動などで緩んで来るようです。緩むと下側に垂れ接眼レンズではレティクルが「上」に結像することになるわけです。判れば簡単!対物側のレンズを締め込み緩まないようにします。少しの垂れでもスコープ内では大きなズレとなりますからネジロック剤を塗って固定しました。上下調整が不要ならこの作業はオミットして構いません。後述しますが、工場できちんと調整されていれば触る必要のない所ではあります。

ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整    ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整
【左】緩んで突きだして下側に垂れたレンズ                        【右】レンズを締め込みネジロックを使って固定



b.鏡胴内のウィンテージの微調整

※これが重要なポイント  ・・・・・・倍率下げレンズ群のウィンテージの微調整ポール

このポールを誰もがタダの回り止めのものだと解釈されているのですが実はこのポールは偏芯していて矢印の通りに回すと出る→引っ込む→出る→引っ込むのサイクルで板バネの力で寄りかかっているレンズユニットがポールにつられて左右に動くのです。つまりこの振り幅でレティクルの位置調整ができるのです!分解当初は薄白いゴム接着剤に隠れていますがこれを取り除くとネジ頭が露出しプラスドライバーで調整が出来るようになっています。内蓋も調整用に切り欠きが設けてあるほどですから基本設計は割とチャンとしているんですな~。調整・仮組・チェック・修正・仮組・・・・・・・と4倍と等倍のレティクルの合致にはかなり手間ひまが掛かりますが愛情を以てやり遂げましょう!


ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整    ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整
【左】内蓋の切り欠き部分をよく見るとプラスネジの頭が見えます          【右】偏芯しているポールの回転につれてレンズユニットが左右に振れて微調整が出来ます




ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整
上から見た偏芯ポールとレンズユニットの関係イメージ図 (※ 図の上下関係などが不自然でしたので作図し直しました 2014_03_27 )



ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整
取り外した偏芯ポール 実物を見れば一目瞭然ですね(※ OS4X に改造するため取り出したものです 2016_06_28)




4.組み直しの注意

手順としてはそのまま戻すだけですが、エレベーションダイアルのボルトがスコープベースの中心に取り付けられていない場合があります。私のがまさにそれで、ペンチで掴んで捻って位置を補正しました。これも工場での組み付けで個体差がありますが、ボルトを中心に戻すだけで最初から右寄りになる癖が大分改善されました。また、私の分解手順ではエレベーションダイヤルごと外すので、下の写真【右】を参照してセットしてください。

ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整    ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整
【左】私のものはハナからボルトが銃口に向かって左寄りに付いていました          【右】エレベーションダイアルは偏芯しているので偏芯部を前に持って行きます



どうやら中国の工場のおばちゃん達にその調整の仕方を徹底できていないだけの様なのです!というかそんなことはお構いなし。コストを考えるとこんなものかも知れません。窒素ガス封入だとか、コリメーターで調整だとかに全く無縁なレプリカスコープですから、高度な技術もデジタルでもありません。市井のおっさんでも分解して調整できるのもレプリカの良さでしょう。説明書も分解図も何もないスコープですから行き当たりばったりですが、思わぬ発見をするとウキウキします。調整後は等倍も4倍もすこぶる好調です!なんたって等倍で索敵、4倍に切り替えてもしっかり対象を捉えられているんですから....。当たり前なのにこんなに嬉しいことはありません。いじった者にしか味わえない醍醐味ですね~。

ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整


ELCAN SPECTER DR 1X-4X (replica) の分解と調整
先日、お邪魔した鈴鹿LBR深溝フィールドにて HK417 は此処では長すぎるので16 inch に変更






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この記事へのコメント
流石♪ただバラすだけでなく1つ1つの細かいパーツまでよく観察して直されますね。
中華パーツはやはり組立が悪いだけで以外と基本設計はしっかりしているものなんてすね。
まぁその調整が面倒くさいですが…ww
Posted by おっくー at 2014年03月29日 15:47
おっくーさん:遅くなりました~。おばんです(^^

中華は当たり外れがありますよ。基本設計って殆どがパクリですが日本では考えられないようなものも出してくれるので、有り難いと同時に妥協という言葉もついて回ります。

このメーカーはある程度安全、と言わば蓋然性が購入のノウハウでしょうね。

先日の深溝フィールドでご一緒できて楽しかったです。また遊びましょう。
Posted by Kafu'Kafu' at 2014年04月02日 01:21
ゲーム行けてるみたいで羨ましいです
高額?光学機器
エイムポイント入手しました
ミニミにはエイムポイントとイオテック522
どっちが似合いますかね?
本来ならエルカンに上物でしょうか?
エルカンは買えたとしても
上物がみつかりませーん
あっても高そう(๑øェø๑)
エイムポイントも522はSA80には似合わないし
L119A1にのせるとアメリカさんみたいに見えるし٩꒰・ัε・ั ꒱۶
Kafuさんならどーします?
Posted by みや at 2015年08月25日 20:33
みやさん:もしわたしがL110にお金をかけるなら残念ながらその選択肢の中にはありません。

私ならハンドガード、マウントレイルとそれに続くアイアンサイトを求めますね。ゲームユースならこれで充分でしょう。

どうしても光学機器と言うのならELCANがベストでしょうが、寧ろせっかくのTA31FISTをお持ちなので、Zマウントの逆さ付けを選択します。
Posted by Kafu'Kafu' at 2015年08月25日 20:43
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