2014年05月01日

昔のエアガンの無駄話

昔話のついでに

VFC HK417 の項で、懐かしのPROTEC の電動ガン用パワーレギュレーターに就いて触れたものですから、お話のついでに更に懐かしいお話をしようかと思います。これはかつて私が使っていたBV式L85A1 です。ユニットはアサヒファイヤーアームズのユニットですが、エア給弾式で、同じ30連型マグでもスプリング給弾のJAC のそれとは違い当時としては破格の100発を入れる事ができました。エア給弾はBBを撃ち出す主流とマガジン内のBBを押し上げる副流とに別れ再びチャンバーにて合流するためエアロスが少なく、確実な動作がウリでした。とは言っても12Lエアタンクに20気圧ぶち込んでも1000発撃てるのが精々でした。ユニット自体は数種類ある中で定評があった ロングストロークタイプを流用しています。これを作ってもう四半世紀が経ちます。

昔のエアガンの無駄話
アサヒユニットとアウターバレルをそのまま流用したために長めなブルバレルになっています




BVについて

ブレットバルブ(Bullet Valve) とはユニット内にあるサブチャンバーがBBを抱え込みBBとOリングで蓋をされたインナーバレルが空気圧で前進。解放域まで前進したところでOリングが開きBBが発射されるという方式です。発射後、次弾を抱え込むためサブチャンバーはインナーバレルと共にスプリングで後退し、エア圧で吹き上げられた次弾を再びサブチャンバーが抱え込み前進、発射を繰り返すのが原理です。当時主流は質量のある肉厚な真鍮製インナーバレルが前進、後退を繰り返すので反動が小気味よく撃ち味はなかなか良かったです。しかもサイレンサーを装着すると殆ど無音で強烈な弾道がブッシュを突き抜けるという文字通りサイレントキラーぶりを発揮したのです。当時のBB弾の標準重量が0.3g~0.36gを40m程は飛ばしましたからジュール値は.....。しかしインナーバレルが前後動すると言うことは命中精度には悪影響の何ものでもありませんから、出来るだけスムーズに且つブレなく動かすためにベアリングを仕込んだり、カラーを埋め込んだりしたものです。
また、リターンスプリングの強弱、Oリングの硬軟、サブチャンバーの移動距離そしてエア圧の大小が絡み合うため概してパワーは上がり気味で、私の愛銃も3.5気圧で動作はしましたが、発射サイクルを含めて4気圧が最適でした。しかしゲーマー各自がノウハウを持ち安全なゲームが出来るようモラルを持って調整をしていました。しかし、やりようによっては幾らでもパワーの上げられるこのシステムは凶器にもなり得るものであり、外部ホースの切断、サブチャンバーの廃棄を以てこの愛銃は昔を懐かしむ無可動エアガンになっています。

色々とノウハウも書きたいものですがこれ以上はBVに就いて触れません。無限にある空気をパワーソースとし、水にも強いなど良いことも沢山あります。適切なバランスで作り上げればBVは決して極悪銃ではなく規制値内に収まる素材ではあると言えるということだけコメントしておきます。視点を変えれば今流行りの流速チューンのアイディアの幾つかはBV方式にあるとも付け加えます。


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【左】ガワはMMC のコッキングモデル を利用      【中】アサヒマガジンを使うためマグキャッチ位置を変更   【右】規制前の銃なので外部ホースを切り落とし


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【左】アルミフレームでユニットを固定        【中】ユニットとアウターバレルはねじ込みで固定        【右】エアスイッチ部とカプラー(8mm)


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【左】マガジンハウジングから覗くユニット            【中】100連スチールマガジン(重かった!)             【右】マガジンを上から見る





BV時代のホップ

ホップという考えはBV式時代の中~後期に考案されましたが、エアガン黎明期~前期は主に弾道の乱れの少ない(即ち重量級の)BBを選び、且つそれを遠距離に飛ばすためパワー重視となりました。電動ガンと違いラバーチャンバーがホップを司ることはなく、Oリングから発射されたBBにホップ回転を掛けてやるには別のシステムが必要でした。モリオカ式を経てSCS(スピン・コントロール・システム)はそのようなパワー重視時代に登場しました。特許絡みでごたごたしていたと記憶していますが、ユーザーである我々はお構いなしでしたねぇ~。インナーバレルに下向きに設けた突起にOリングから解放された直後のBB弾が当って(当時の初速とBBの重量を考えると激突という表現が近い)ホップスピンを掛けるもので当初一つだった突起がやがて二つになり、より弾道を安定させようともしました。パワーを上げずに飛距離を伸ばせるとあって、ゲーマーに浸透していきました。しかし「激突」式には変わりなく、現行の電動ホップのような安定したものではありませんでした。突起のクリアランスも考えると必然的にルーズバレルであり、激突状況が一定でないシステムでは限界があったわけです。

インナーバレルはスプリングとアウターバレルで保持されているだけなので、放っておくと回転するため、ホップシステムを組むには回転防止の為のスリットとガイドを設けていました。製品の多くはブレ止め処理をしたアウターバレルとセットでの販売も多かったですね。

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【左】ハンドガードから見えるブレ止めスリット                                【右】アウターバレルのスリットとインナーバレルのカラー




そこにシェリフが開発したL.R.B(ロングレンジバレル)が登場します。これは偏芯したインナーバレルとOリングからなるシンプル且つ確実なホップシステムで、激突方式では無いためタイトバレルにも採用できるため命中精度と飛距離の両立が高い次元で実現できました。欠点と言えばBBの重量を変えられない事と偏芯したバレルの為Oリングがのめり込む事ぐらいでしょうか?何れもOリングの硬度を変えたりリターンスプリングを換えたりすれば対処できました。特許申請内容とは解釈が違いますがL.R.BはOリングがホップを司ることを可能にした画期的なものでした。


昔のエアガンの無駄話

S.C.S (Spin Control System) という名でも発売されたホップ方式です。ボルトアクションには向いていましたが解放されたOリングから一度突起に当たる
システム故にインナーバレル自体が激しく揺動するBV 方式ではホップの掛かり具合が均等とは行かず命中精度も今ひとつ。後に突起を二つにするなど弾道の
安定化が為されましたが、調整が面倒で改善と言う域を出ませんでした。今でも私のMGC製のベレッタなど古いフィクスドガスガンにはSCS が居座っています。



昔のエアガンの無駄話

L.R.B ( Long Range Barrel ) は直訳すれば長射程銃身といった意味合いでホップ方式を直接表す様なネーミングではありませんが、インナーバレルを
偏芯させてしまうと言うコロンブスの卵的な発明でした。断面図を見ればお判りになる通り、Oリングが解放される前からBB弾のほぼ上部半周をOリングが覆い
Oリングの解放と同時にスピンが掛かる方式です。しかも偏芯している故にBBが後方からインナーバレルにせり上がる様な動きをし、結果スピンの掛かったBB
はバレル内上部を上向き回転を伴ったまま転がり抜ける副次的な作用もありました。BB重量やOリング硬度、偏芯率でホップの掛かり具合が変わってしまいま
               すが、一度調整を完了すればシンプルな構造だけに殆どの条件下で安定した射程距離と命中精度を誇りました。


開発したシェリフはパテントを取得した後は防犯業界へも進出。LRB技術を駆使して強盗犯などに投げつけるカラーボールに取って代わる命中精度の高いペイ
               ントボール発射機を開発。金融関係にも納入実績を挙げ防犯機器メーカーとしても成功しました。

TV番組で暴走族を追う警察バイクにペイントボール発射機を取り付け追跡中に発射し、検挙に使うという番組が放映されたのですが、憐れにも全く命中しない!
シェリフのL.R.Bぺイントボール発射機を使えば税金の無駄遣いにもならないのにと思って観ましたね。しかし時勢はシェリフに利あらず惜しくも5、6年ほど
              前に社命を終えてしまいました。オールドファンとしては寂しいの一言。



昔のエアガンの無駄話
今から22,3年ほど前のBV全盛のゲーム写真 みんな結婚、再婚しました



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これも昔のそのまた昔 高知ボンバーズさんのフィールドにお邪魔したときの一コマ 得物は勿論BV L85A1でした 一緒に遊んでいた AGGRESSOR GROUP のS氏も写っていますょ






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Posted by Kafu' at 01:33│Comments(2)L85英軍装備
この記事へのコメント
はじめまして、いつも勉強させていただいております。

MMCのL85A1にアサヒのユニットを組込むカスタム、自分も全く同じ物を作ってゲームに使っておりました!

当時、高校生だった私ですが、機械関係は全くの素人でしたので、ユニットの固定方法はホームセンターで買った工業用の粘土パテをつかって適当に固定していました。
アサヒのユニットは文字通りそれ単体でユニットとして成立していましたので、ある程度いい加減でもマガジンとの気密さえ確保できればちゃんと作動してくれたので、出来上がった時はかなり自慢してしまいました・・・。
今回の記事を拝見しまして自宅の蔵を捜索したところ、ちゃんと残っていました!
懐かしいのでしばらくいじってみます。ちなみに現在はエアータンクも無いですし、メンテナンスもしていませんので当然発射できる状態ではありません。

※このBVアサヒL85A1の数年後に東京マルイからFAMASが登場したので速攻で別のL85を電動化しました、このとき使用していたバレルがシェリフのL.R.Bだったので、今回の記事は二重に懐かしかったです。

これからもよろしくお願いします。
Posted by 裸の男爵 at 2014年05月01日 19:13
裸の男爵さん:こちらこそ初めまして。私の場合はアルミの「コの字」材を加工していたんです。ユニットが回らないように左右を削ぎ落として固定しています。おなじMMCのL85でも私のモノはコッキング式の方のものでかの有名なピコピコユニットはハナから付いていませんでした。

実はコッキングタイプの方が加工がし易かったんです。L85カービンモデル(正式にはL22A1)も作りまして都合2丁作り上げました。御貴殿同様出来上がったときにはもう何処へ行くのもこいつを持ち出して悦に入っていたものです。何しろプラの皮をかぶったオオカミでしたから。

FA-MASユニットに換装されたんですね?これも流行りましたね~。私はトライしたのですがあのメカボの調整のしにくさには閉口したものです。

LRBを入れて使われたとか....判りますよ~判りますとも!初期型はHOPがありませんでしたからね~(^^;

今ではHOP当たり前ですが、あの当時は色んなアプローチがあって、今より楽しかったのかも知れません。

私は初期型MP5に入れて遊びましたよ。
Posted by Kafu'Kafu' at 2014年05月02日 01:23
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