2014年02月22日

英軍のBéret (今どきのベレーを考える 2)

ベレーの大きさの変遷


大戦中の空挺のベレーは大きめでしかも被り方は額を広く見せるあみだ被りです


二次大戦中から今日に至るまで基本的な形は変わっていませんがベレーで有名といえばモントゴメリー将軍でしょう。彼の写真を見るとベレーと言うよりアイリッシュカウビーンの様な大きさです。それもそのはずモントゴメリー将軍はアイルランド系なんですね。彼の愛称から呼ばれるモンティベレーはKANGOL 製だとか。RTR の兵士からプレゼントされたもの(ロイヤルタンクレジメントですから当然ブラックベレーです)と言うことですが大きさはカウビーンの影響では?と深読みしています。2つの徽章を付けられるのはあの大きさあってのことです。モンティベレーは極端な例かも知れませんがそれでも一般兵士のベレーも大戦中は垂れも大きく、且つ額を見せる被り方でした。時代を降る毎に徐々に小さくなって行き、目深に被る様になっていきます。少々乱暴で大雑把ですが2次大戦中➡1960年~80年代➡現在と区分してみれば顕著な変化が見て取れると思います。

Montgomery 1Montgomery2Montgomery3
Field Marshal Bernard Montgomery



大戦中>>>>>>>>>>>>60’~80’年代>>>>>>>>>>>>>現在


Royal Marines

Royal Marines は大戦後ほぼ一貫して左目の上に徽章を持ってくる正当派です。しかし徐々にベレーを目深に被る様になってきました。



PARA REGIMENT

PARA REGIMENT は大戦~戦後とRM と同じく徽章は左目上なのですが、近年徽章を左側頭部側に位置させる被り方に変わっています。



Royal SCOTS

Royal Scots が着用するTam O' Shanter は近年になって特に小型化しています。これはアイリッシュカウビーンにも言えることです。




ベレーの一層の小型化

そして直近になって若い将兵達を中心に更に小さなベレーを好んで着用しだしました。殆ど頭の形に近いというか頭に生えている髪という風情で、シルエットにすると被っているかどうかも判らない位でしょう。小型の目安としては垂れが右耳に掛からない、或いは少々掛かる程度までのものです。官給品のベレーが大きくサイズダウンしたと言うよりPXのような基地内商店などから個人購入するベレーが小型化しているのではないか?と思っています。最近手元に来た民生品は何れもが小ぶりです。また官給品もこの流れを汲んで兵士達が意識的に垂れを内側にたくし込んで小さくしていると睨んでいます。事実、友人や私の手元にある官品ベレーの中には形を整えるために垂れを裏側からピンで留めたり縫いつけているものがあります。現職兵士も形を付けるのに四苦八苦しているのを垣間見るようでとても興味深いです。


小型化しても本職は似合います この頃はオフィサークラスも小さめを被ることが増えてきました




不揃いな被り方

ちょぃと面白いのは他国のベレーの被り方はかなり厳格なのですが、本家とも言うべき英軍の被り方への寛容さです。同じ聯隊どころか部隊でも空挺被り、海兵被り、トムスタイルが入り交じります。お堅い!? Royal Marines (海兵隊)ですらこの頃は大分くだけて来ています。年長者になればなる程、クラシックな風情は何処の世界も一緒。若い将兵を中心にと先述しましたが、トレンドは矢張り若い連中から生まれると言うことですね。個人購入先の商店も彼らの要望によって小さめなベレーを作っているのだと思われます。


上掲のRoyal Marines の拡大写真  もうバッラバラです 「被り」と表現するよりスタイルと言った方が良いですね


但し!くどいですがベレーの形付けは買ってすぐには出来ない事をお忘れ無く。内張を切り取り湯引きするぐらいの覚悟は必要です。それから海兵の空挺被りもよく見ると徽章の位置は変わっていてもきちんと徽章が立っています。ここで言う空挺被りとは徽章ごとベレーを右方向に流す形付けのことで徽章も右方向に倒れ気味になりますが、海兵のそれは一度徽章のある部分に壁を作ってから垂れを流していくと言えばいいでしょうか?単なる今風の被り方にはなっていないので注意です。




※ベレーには徽章を取り付けるバッキングパネルがあるものや徽章自体に裏側から取り付けるプレートがついたものがあります。徽章を立てるにはベレーの種類や徽章の付け方にも気をつけると良いでしょう。



トムスタイル

非難を承知で且つ、英軍に限ってと前置きしますがミリタリーベレーの被り方には空挺被りやトムスタイルもアリかな?と思っています。多少の語弊はご勘弁いただきたいですが中でもトムスタイルは英軍でも未だ少数派ですが、ベレーの常識から逸脱する異形で個性的です。垂れを右横に流さず前方、額側に引っ張り出すもので、鍔のないハンチング帽みたいな形です。前方に出た垂れ(もはやヒサシと言った方が良いです)の中心でへの字に折るのがトレンドのようです。何故こんな形が登場したのかは定かではありませんが、額からぽんと被るだけで済みますから、手間いらずというのが真相ではないかと思っています。徽章を左側頭部に持ってくる空挺被り共々今までのベレーの常識は当てはまりません。最早、金科玉条であった ” 左目上に徽章を持ってくる ” と言うだけではミリタリーベレーは語れなくなってきているのです。これからベレーを始めようとお考えの方には基本を踏まえた上で自分に合った被り方を選べばよいでしょう。


ベレーをハンチング帽の様に被るのをトムスタイルと言います。空挺は早くからやっていましたが、RAF やお堅い海兵にも遂にその波が...



なぜトムスタイルと言われるのか

私の知る限り、トムスタイルを始めたのは空挺兵士で間違いないと思います。今で言うSFSG 即ち1PARA 兵士に以前からこの被り方が認められます。友人が英国の知人に問い合わせをしてくれた所によると、そもそもTom 或いはTommy とは大戦中の英軍兵士の愛称です。その後空挺兵士が自らを指してToms (トムス)と言うようになったとの事で、どうやらこれがトムスタイル(Tom Style ) の謂われの大もとだと思われます。また空挺が始めた被り方という事にも符合します。やっぱりいつの時代でも空挺は俺たち流です。横紙破り、歌舞いてますねぇ


ってことはトムスタイルこそが空挺被り!ってことですか!


ん?私はおっさんですから、昔ながらの被り方にしておきます。正直に言ってトムスタイルはぞっとしません


Béret (英軍のベレー)

英軍のBéret (今どきのベレーを考える 1)






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この記事へのコメント
おお~、これは解り易いです!

これを見て、昔々、学生帽をあーでもないこーでもないと試行錯誤しながらかっこいい被り方を研究したのを思い出しました。(笑)
Posted by IXABA at 2014年02月24日 16:02
店主殿:ちょっとねぇ~、ステレオタイプな軍用ベレーの説明にちと辟易しましてね。少し、違うんだなぁ~と思って.....。

ただこれを以て安直な被り方はして欲しくないですね。キチンと形作りをして被ってくれたならこれに勝るものはありません。

そうそう、CS放送で放映された2006年オランダ映画「ブラックブック」という二次大戦を舞台背景にした映画で時折出てくるカナダ軍のベレーの被り方がかなり決まっていました。俳優達が被っているんですが見事な被り方でした。
Posted by Kafu'Kafu' at 2014年02月24日 20:45
「小さいベレー」
実は洗濯して縮んでしまった結果だったりしませんかね
かくいう私は「軍物は気にせず洗濯するぜ」という意気込みでいつつ丁寧に押し洗いをしても
「ベレーの一層の小型化」のお二方と同じくらいに酷く縮んでしまいました
Posted by 通りすがりヘタレ at 2016年05月23日 08:27
あ、なるほど!それもあるかもしれませんね。
しかしそ戦中、戦後直後のベレーはさらにデカかったことになりますねぇ。当時も洗濯したでしょうから。

最近の軍に出入りしている業者のベレーは明らかに一回り小さいんですよ。もちろんサイズではなくて、造りがです。
Posted by Kafu'Kafu' at 2016年05月23日 08:40
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